人の死に触れた
わたしには3回、身近に人を亡くした経験がある。
1度目は、20歳のとき。
ツイッターで3年くらい絡んでた1つ年下の子。
とっても面白い子だった。フォロワーもたくさんいたし。メリーが好きで絡むようになったんよな。年下と関わりがないわたしにとってその子はなんだか不思議な存在でした。
そう、わたしがはてなブログを始めるきっかけになった子。その子は亡くなる直前まではてなブログで自分のことを赤裸々に書いていました。
病気こと、整形のこと、大切な家族のこと。
その子との関係は、ただのネットの友達.......と言ってしまえばそれで終わりだけど
わたしが当時付き合っていた彼氏がバンドをやっていて、その界隈では有名な子だったと。
なにやら界隈で有名なバンドのボーカルの元カノだった、らしい。
まあ本人もネタにしてるくらいだし、みんな公認だったんじゃないかな。
なので、わたしがフォロワーなのをきっかけに当時の彼氏のバンドのボーカルがその子と絡み出した。2人はトントン拍子で会うようになってたと思う。
あ、そういえば1回彼女を飲みに誘ったことがある。その子は当時高校生だったので(すみません)断られたけども。
そして忘れもしないことが起きた。
当時彼女が大切に飼っていた愛犬が亡くなってしまった。
本当にいきなりだったらしくて、彼女は酷く落ち込み、いつもの明るさなんてどこにもなかった。
自分を責め続ける彼女を見てそこでわたしはひとつ、彼女の闇に触れてしまった気がした。
そう、今まで溜めてたなにかが溢れ出たように彼女は精神が不安定になっていった。
でもね、わたしは声をかけることが出来なかった。というかしなかった。
だって、第三者ほど自分の悲しい気持ちを語られたくないでしょう?
会ったことがない、これはとても大きい壁に感じた。
だからなにで悩んでいたのかも、憶測に過ぎないんです。わからないのにその子の心情を語る、これは相手にとってとても失礼なことなのでわたしはなにが原因とかは一切考察しません。このブログを書いてる時点で侮辱になるのかもしれないけど、あくまで私が感じた話、で。
そこから彼女はやり切れない気持ちをつらつら残すようになっていった。
でもしばらく経ったあと、彼女の家に新しい家族を迎えた。亡くなった愛犬と同じ犬種で、とっても雰囲気が似てる可愛い子だった。
世の中にはそんなスグ飼えるなんて!と批判する声もあるけど、ペットロスで大きく開いた穴はとてつもなく深いものであり、誰にも満たすことが出来ない大きな大きな穴なのである。
わたしは新しい子をお迎えすることは賛成です。それは誰よりも命を預かるという責任の重さを知っていると思うから。
彼女は新しい子がきてとても嬉しそうだったけど、どこか先住犬のことを重ねてしまっていていつも辛そうだった。
そこから追い討ちをかけるように大学受験でパニック障害を再発した、と。
わたしは全然知らなかった。だって私にとってその子はSNSが大前提の存在だったから。
なぜ知ってるのかというと、先程も言った通り彼女が生前残したブログで書いていたこと。
そして大学は合格し、新しい生活が彼女を待っていた。
私が感じたこと。
大学1年生の年に彼女はどんどん深く闇に堕ちていった。
学校がうまく合わなかったらしい。あんなに苦労して受験してつかみとった居場所が、彼女を苦しめることとなった。
彼女はとても頭がよかった。高校も全国有数の中高一貫の名門校で、偏差値も70程はあったと思う。
もう、書かずとも分かると思うけど。
これがどんなに辛かったことか。
そこから彼女はタバコを吸い始め、酒を飲むようになった。一見、普通の大学生にしか見えないと思うがわたしはそれが自傷行為に近いものだと思ってしまった。
そうして髪を明るく染め、整形をするようになった。
彼女は間違いなく醜形恐怖症だった。
大学は行ってなかったみたい。だから彼女は大学へ行く時間をかき消すように働いていた。
この頃は、高校をやめてすぐバイト3つ掛け持ちしてた自分を思い出してしまって少し見ているのが辛かった。
彼女は真面目だった。どんなにふざけて自分を下げるような発言をしていたって、愛犬と家族想いの19歳の可愛い子だった。
そこから彼女は生き急いでるように見えた。働くことが苦痛になっても、大学へも行けない。どこにも戻れない。この世の中に縛られていた。
そして彼女はODや自分を殴るといった自傷行為が目立つようになった。毎日死を連想させることを言っていた。自殺未遂も繰り返していた。
そしてなにより、身辺整理と言わんばかりに自分のモノを売り出した。
彼女は学生の時軽音部だったらしく、大切にしていたベースまで。
その頃からブログを始めていたような気がする。
整形費用は親に前借りしたこと、精神病が悪化していること。そして、愛犬のこと。
とても重い内容だらけだけど、文章は柔らかい。人を惹きつける綺麗な文章を書く記事ばかりだった。
そして彼女が命を絶ってしまうその日、彼女は這いつくばるような思いで仕事へ行き仕事中に泣いてしまった、と書いてあった。
そしてもう今日でいいやと意味深なことも言っていた。
その夜、彼女はおやすみと書いて自撮りをあげた。
それが彼女の最後のツイートだった。
そして次の日、兄を名乗る方が妹は亡くなりました、と。彼女のアカウントで報告した。
普通だったら、疑いが残る形だけどもわたしは嘘じゃないことを知っていた。
なぜなら、冒頭で書いた通り
わたしの元彼のバンドメンバーが必死に彼女と連絡がとれる人を探していたから。
彼は事を知った時、協力してくれた人へ感謝の思いを告げていた。
2016年8月8日、彼女は愛犬の元へ旅立った。
この時の衝撃は今でも忘れることが出来ない
夏になる度思い出す。
信じることが出来なかったけど、彼女と仲の良かった人達が最期の別れの言葉を彼女へ寄せていた。紛れもなく事実だった。
わたしはここで、会ってみたかった気持ちと
会っていてこの結末を迎えた時自分のことを許せなかったと思うと複雑な気持ちでいっぱいだった。
だけど、悲しい気持ちとなぜだか悔しい気持ちも残った。
わたしは結局彼女に会えなかったから、なにも発言が出来ない。だって彼女と親しかった人はそれ以上に苦しんでいるのだから。
わたしはひっそり 空を見上げて目を閉じて手を合わせた。
どうか彼女が愛犬に会えて今度こそ幸せな環境で暮らせますように、と願って。
今でも彼女のブログやツイッターは残っている。落ち込んだりした時、彼女のセンスのあるツイートを見るようにしている。
本当に面白いからみんなに見てほしいくらいだけど、これは今でも彼女を忘れられないわたしの特権だと思ってる。
この子は悲しみだけ残した人じゃない。人を暖かくさせる才能を持った、優しい優しい女の子だった。
今年で4年経つ。もうそんなに経ったのね
のんもりんも元気にしてます。のんを飼う時、背中を押してくれてありがとう。
いつか会えることを楽しみにしてるね。
4年前の夏、わたしが人の死に触れた初めての出来事だった。